リターンライダーが、バイクに乗る上で注意しなければならないポイントは?
年齢とともに視力や反応時間も低下していくので、
現状の自分の能力や技量に応じたライディングを心がけましょう。
- リターンライダーが増加。
- まずは扱いやすいクラスで慣れること。
- 自分の能力や技量に応じたライディングを。
リターンライダーとは
最近「リターンライダー」が増えています。
リターンライダーとは、かつてバイクに乗っていた人がさまざまな理由によって運転しなくなってしまい、しばらく期間が空いてからまた復帰するようになったライダーのこと。たとえば若いころにバイクに夢中だった人が、結婚を機にバイクを手放し、子どもが独立したのを機に50歳代になってバイクでツーリングに出かけるようになったケースなどがそうです。
バイクの購入者年代でみると、「50代」が28%と最も高く、「60代」が23%、「40代」が20%と続き、平均年齢は52.7歳となっています(自動車工業会「2017年度 二輪車市場動向調査」)。
中高年になって時間や金銭的にも余裕が生まれた40代~60代がバイク購入の中心になっているのが現状のようです。
リターンライダーのバイク選びのポイント
若い頃は熟練したバイク乗りだったとしても、時間的なブランクがあると、当時ほどの体力はなく、またバイクの性能も進化しているため、昔の感覚のままで運転するのは危険な場面もあり、自分の体力と今のバイク性能を十分に考慮する必要が出てきます。
リターンライダーがバイクを選ぶ際の注意点
安全のためにまずは扱いやすいモデルから選ぶこと。
所持している免許区分にもよりますが、最初は250ccクラスのスタンダードモデルから選ぶのが無難でしょう。250ccクラスのスタンダードモデルであれば軽量コンパクトで取り回しも容易。高速道路の走行にも十分なパワーも持ち合わせていて、街乗りからツーリングまで幅広く使えます。
そして、昔の勘を取り戻してバイクの運転に慣れてきたら、より大きな排気量の高性能モデルにステップアップすることもできます。その上で、目的や好みに応じて、スタンダードモデルはもちろんスーパースポーツ、ツアラー、クラシック、アドベンチャー、クルーザーなど多様なジャンルから自分好みの一台を選択することも可能です。
せっかく大型二輪免許を取得しているのだからと、大型スポーツバイクを求める人も多いようですが、排気量が大きいということはそれだけ高出力で、車体も大きく重くなります。特に最近のモデルは極めて高性能ですが、その一方で扱いが難しい面もあり、十分な経験と運転スキルがないと危険な場合もあります。
たとえばその独特なスタイルへの憧れでフルカウルのスポーツモデルを選ぶと、ハンドルが低く常に上体が前傾した乗車姿勢を強いられるため、首や腰に負担がかかり中高年にはつらい場合も出てきます。 一方で、今から20年前くらいのバイクはキャブレター式でしたが、排ガス規制により2008年式以降のバイクはFI(フューエルインジェクション。電子制御燃料噴射装置のこと)化され、気温や標高の影響を受けずに常に安定した走りが可能になるなど、扱いやすくなっています。
そんな中で、安全を考えるとやはりABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やトラクション・コントロール・システムなど、最新システムを装備したタイプを選ぶとよいでしょう。昔はブレーキロックによる転倒が怖くて思い切りブレーキをかけられませんでしたが、最近のABS付きモデルではそのリスクがだいぶ低減されました。
中古車を選ぶ場合、ABSが義務化された2018年式以降の車種を選ぶと確実でしょう。また旧式モデルを選ぶときは整備状況をよく確認し、できればタイヤだけでも新品に交換することを考えてください。たとえタイヤが摩耗していなくても古くなれば本来の性能を発揮することが難しくなるためです。これは四輪車と同等以上にシビアに考えるべきです。また高速道路を走行する場合に備え、ETC車載器の装備もおすすめします。
求められる身体能力とスキル
バイクは身体能力をフルに発揮して乗りこなす乗り物であり、大型バイクになるほど基礎体力も必要になります。駐車場からの出し入れや、Uターンなどの取り回しなどはある程度の体力も必要になるため、日頃から特に足腰は鍛えておきたいものです。
また万が一転倒したときでも自分で引き起こせる体力や、停止したときに片足だけでも確実に地面に着ける柔軟性なども必要です。前述の「250ccクラスのスタンダードモデルから選ぶ」としたのは、そのためです。250ccクラスの車重はだいたい150kg~170kg程度、1000cc以上のクラスでは200kg~300kg以上にもなります。
また年齢とともに視力や反応時間も低下していくものです。現状の自分の能力や技量に応じたライディングを心がけることがリターンライダーには求められます。交通環境も20年前とは変わっています。たとえば「自転車は車道走行」の原則が徹底されて車道を走行する自転車も増え、自転車用の青色の路面標示があるのが普通になりました。音が静かなハイブリッド車や電気自動車の普及とともに他車の存在にも気付きにくくなるなど危険な要素も増えています。
バイクの運転は自己流ではなかなか上達せず、誤った知識がかえって危険を招くこともあります。安全に長く乗り続けるためにも、警察主催の安全運転講習会やライディングスクールなどで正しい運転技術と安全マインドを学ぶことをおすすめします。
以上のことを踏まえて、憧れのバイクに乗りましょう♪